カリフォルニア州にあるバレンシア病院には、美しい歌声を持つジャレッドさんという男性看護師がいます。ジャレッドさんは、元々は患者の前で歌うという意識はなかったと言います。廊下を歩いている時に何となく歌っているうちに、患者たちが寄って来て歌声に耳を傾けるようになったそうです。そして、これこそ自分が患者たちのためにできることだと気付いたのです。
ジャレッドさんは、医療の力だけでなく、患者とのコミュニケーションを大事にしています。病室に見回りに行くと座って話をし、ジョークを言ったり一緒に歌ったりします。患者の体調が優れない日だって、自分の歌声で患者の心を明るく変えることができると言います。
「病は気から」と言いますが、私はそれを信じています。例えば、頭痛が酷くて横になっているとただ苦しいだけなのですが、逆に外へ出て誰かと楽しい会話をして大笑いするうちに、いつの間にか痛みを忘れて治っていることがあります。きっと、ジャレッドさんの歌声も、患者たちにとって苦みも副作用もない魔法の薬になっているはずです。