アドベンチャーゲームとして人気を誇っていた『アンチャーテッドシリーズ』、2016年5月に発売された4作目「海賊王と最後の秘宝」を持って幕を降ろしましたが、最後を飾るに相応しいクオリティと重厚なストーリーが評価され、初週だけでも270万本を超えるヒットを記録しています。
このゲームの映像を見た方はそのリアルな映像の迫力に圧倒されるのではないでしょうか。
そしてキャラクターの豊かな表情や細かい仕草などに目を見張ることになることでしょう。
■なくてはならないモーションキャプチャー
CGキャラクターによる映像を作る際、それをよりリアルなものに見せるためにモーションキャプチャーという手法が使われます。
実際の人の動きをデータ化し、それをキャラクターに反映させるという技術ですが、これは最近のものではなく、CGによるアニメーションが使われだした頃から取り入れられてきたものです。
そのためゲームだけではなく、映画やドラマなどにも多く取り入れられていますので、これを使っていないものを探すほうが大変かもしれません。
多くのゲームの場合はこのモーションキャプチャーのために「モーションアクター」という専門の役者さんを起用しています。
格闘ゲームなどは武術家でなければその動きができない、アクションシーンなどでは見栄えのする動きをする人が望まれる、などがその理由です。
映画でいうスタントマンに近いものと考えてもらって良いかもしれません。
動きは動き、声は声、と別々のパーツとして作り、ゲームキャラにするときに組み合わせているわけです。
■アンチャーテッドの声優さんは大変?
ところがアンチャーテッドの場合このモーションキャプチャーを専門の役者さんではなく、それぞれの声を担当した声優さんが行っています。
(Uncharted4 Motion Capture Session)
なんとも締りのない風景ですが、CGを使った映画もこれと同じような撮影が行われていますので、映画やドラマのメイキングを見たことのある人にはお馴染みかもしれません。
動画の冒頭で身体を動かしているのが主人公「ネイサン・ドレイク」の声優ノーラン・ノース氏です。
中盤でバイクに見立てた物を壊して喜んでいるのが「サミュエル(サム)」を演じているトロイ・ベイカー氏。
なぜ「声」を演じる人が身体を動かすことまでしているのかと気になるところですが、これは台詞と顔の動きを合わせるためです。
仮にモーションアクターの人が同じ台詞を言いながら動いたとしても、あとから声を入れて動きと表情に合わせるのは非常に難しくなります。
そのため台詞と動きを合わせて撮ってしまおうということになっているのです。
これで出来たのがこういうシーンです。
質感や光の加減からCGとわかるものの、身体の全体から顔の細かい部分などは非常に自然に動いているので、昔のCGに見られた異質な硬さは感じられません。
ここまでくるともう少しで実写と遜色ないものになりそうな気がしてきます。
■ゲームは映画を超えるエンタテイメントになれる。
身体の動きだけではなく、声と顔の動きを合わせようとする動きは数年前から行われていましたが、これほど表情豊かに動くようになったのは技術の進歩があるからです。
ゲームだけでなく映画でも当たり前になってきたこの手法、どちらもCGを多用するようになるとその境がなくなってしまう日が来るかもしれません。
もちろんただ単に綺麗なムービーを観るというのではなく、映画の主人公になりきって動けるというゲーム本来の要素を持った上で、となります。
そう考えると、プレイヤー主体となれるゲームは映画に近づくというより、映画を超える可能性を持っていると言っても過言ではないでしょう。
近い将来そうなってくれると嬉しいのですけどね。
(アンチャーテッド 4公式サイト)
http://www.jp.playstation.com/scej/title/uncharted/4/