20年ほど前からゲームセンターには陰りが見えていました。
顕著になったのは2010年から2015年の間で、個人経営のお店はもとより、大手のゲームメーカー直営店ですら大量に閉鎖するようになりました。
家庭用ゲーム機の高性能化、ヒット作不振、高額大型化する筐体、それらを衰退の原因と見る人は多いのですが、それ以外にも長年に渡ってゲームセンターの息を止めようとしているものが存在するのです。
■1984年に適用された風営法
正式名称を「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」と言い、それまでゲームセンターは対象となっていなかったものです。
これの施行によって16歳未満の子供は夜6時以降に、18歳未満は夜10以降にゲームセンターへ立ち入ることができなくなりました。
規制が掛けられたのはこれだけではありません。
店内の照明、音、振動、営業時間への制限、遊戯結果に応じた商品の提供禁止、景品機に入れる景品額の上限設定など細かい規制がいくつも掛けられたのです。
特にゲームに使える景品の金額は施行当初で市販価格300円までとされていました。
その後に500円に引き上げられ、現在は800円以下にまで引き上げられましたが、それでも一般的な物販価格から考えると低いと言えるでしょう。
しかもゲームセンターの営業許可を受けないところは、景品の上限など関係なく営業しています。
レンタルビデオ店にあるゲーム機入りのUFOキャッチャーなどですね。
ゲームセンターはダメですが、他の営業形態なら何をやっても罰せられることはありません。
変な話ですね。
この風営法が31年ぶりとなる2016年にほんの一部改正されました。
「16歳未満でも保護者の同意があれば18時以降22時までの立ち入りを許可する」
これまでは保護者同伴であってもお断りしていたのですが、これで保護者がいれば入っても良いことになります。
業界としては喜ばしい緩和ですが、この規制で客離れを起こし、最終的に閉鎖に追い込まれた店があることを思えば、あまりにも遅すぎる対応としか言えませんね。
■すべて内税となるゲーム料金
もう一つゲームセンターにダメージを与え続けているのが消費税です。
ゲームセンターのゲームはほとんどが硬貨を機械に入れて遊ぶコインオペ仕様になっています。
自動販売機もコインオペですが、中の構造はまったく異なっていて、ゲーム機には自動販売機のような硬貨ごとの仕分けや、釣り銭への対応ができる識別器は取り付けられない構造になっています。
そのため消費税に対応するには2コインにするか内税にするかしかなかったのです。
消費税導入当時からプリペイドカード対応の検討もされていたのですが、その当時はゲームセンターの件数も多く、設置しているすべてのゲーム機を改造することは経費的に考えても不可能でした。
そのため、ゲームセンターは内税にすることを決めたのです。
メダル貸出機やチケット制のものは対応できたのですが、消費税分値上げをした店舗は少なかったと思います。
100円を基準に運営している店には1円硬貨や10円玉硬貨が大量に混ざるのは集金の手間にしかならないためです。
自販機のように値上げもできず、消費税が上がる度に利益を削られていったのは、ゲームセンターにとって文字通り身を削られる思いでした。
件数も減り、カードゲームなどの大型機械が多くなった今日なら消費税が上げられても、プリペイドやクレジットカード導入への切り替えで対応できそうですが、やはり一時的な出費は避けらないでしょう。
それに対応できない小さなゲームセンターにとっては厳しいことになりそうです。
■ゲームセンターに対する逆風はまだまだ続く
風営法は少しだけ緩和され、消費税増税は見送られたとはいえ、ゲームセンターにとってはまだまだ厳しい状況が続くのは変わりありません。
やりたいと思うゲームがない、家庭用で十分、ゲームセンターの必要性がない、などと言われるようになっている中、誰をターゲットにするのか、どういうアプローチをしていくのかを考え続ける必要があります。
それも風営法の規制と消費税による利益減という足枷をつけた上での話です。
今回16歳未満の入場規制が緩和されたので、ファミリー層へのアピールはしやすくなりました。
ショッピングセンターのテナントとして営業しているところは大きなチャンスでしょう。
何かとマイナスイメージが強いゲームセンターですが、これを機に良いイメージを持ってもらえるよう頑張ってもらいたいところです。
