日本のRPGの代表格である「女神転生シリーズ」、その派生作として展開している『ペルソナシリーズ』の最新作が、焦らしに焦らして登場となります。
前作の『ペルソナ4』より2年後の2014年に発売予定でしたが2015年に延期され、さらに2016年へと二度の発売延期があったためファンの中には諦めムードが漂っていましたが、発売に向けたイベントが全国各地で行われるようになったことで、急激に盛り上がりを見せるようになってきました。
■ペルソナの原点、女神転生
1986年、作家の西谷史氏によって書かれたSF小説シリーズ「デジタル・デビル・ストーリー」が発売されました。
この作品は「悪魔召喚プログラム」を作った天才プログラマーが私怨を晴らすために悪魔を召喚したことで引き起こされる戦いを描いたもので、日本神話やキリスト教における悪魔、北欧神話などから神や悪魔を取り入れた伝奇小説となっています。
シリーズ第一作目の『女神転生』はメディアミックス展開が行われ、アニメビデオ、PC用アクションゲーム、ファミコン用RPGなどが発売されました。
このうちファミコンRPGが現在も続いている「女神転生シリーズ」へと繋がっていくのですが、小説と関連していたのは1作目だけで2作目の「デジタル・デビル物語 女神転生II」からはオリジナルのストーリーとなり、3作目からはこれまで開発を担当していた「株式会社アトラス」の自社タイトル「真・女神転生」としてシリーズ化されていきます。
「真・女神転生」はアトラスの初ブランドでありながら人気を博し、真・女神転生シリーズで7作、派生シリーズだけでも30作を超える一大ブランドとなっているのです。
なお「女神転生」のタイトルは、小説のヒロインが日本神話に登場する「伊邪那美」の転生だったことに由来します。
■女神転生シリーズ人気の秘密
派生シリーズも含めて、全ての作品に共通する項目は「悪魔」と呼ばれる存在です。
これはキリスト教における「悪魔」とは異なり、神、天使、妖精といった超自然的な存在全てを指す言葉となっています。
そしてそれらはゲームのオリジナルとして作られたものではなく、世界中の神話や伝承、そして宗教に登場するものばかりです。
人気のある北欧神話、日本神話からクトゥルフ神話に至るまで、ファンタジーや伝奇物が好きな人にはお馴染みのものが大量に出てきます。
しかもそれらを使役する、育成する、合成して別の存在に変える、などができるため、ファンにとっては嬉しい限りです。
もっともそれぞれを深く掘り下げているわけではないので、本来の神話や伝承と異なる部分は多く存在しますし、外見の描写も独特な物になっていますので、専門的な人からすれば「名前を使っているだけでは?」と思われることがあるのも事実です。
そのためライトノベルやジュブナイルストーリーとして評価されているとしたほうが良いかもしれません。
■ペルソナ5はピカレスク・ロマン(怪盗物語)
自分が持つ別人格「ペルソナ」を使い、世の中にはびこる悪を滅ぼす、これが「ペルソナシリーズ」の基本であり、敵対する「悪魔」を仲間にすることで「ペルソナ能力」を強めていきます。
これまでは神話に登場する神や悪魔がペルソナだったのですが、今回は怪盗物ということで小説や歴史上の悪漢「アルセーヌ・ルパン」「キャプテン・キッド」「石川五右衛門」などが基本となっています。
昼間は高校生、夜は怪盗となって、欲望によって歪んだ大人の心へ入り込み、精神を歪めてしまったお宝を盗み出し世の中を正していく、そんな勧善懲悪ストーリーです。
シリーズ伝統の「悪魔」もしっかり引き継がれていて、シャドウと呼ばれる敵として多数の物が登場してきます。それらを倒すのか説得して仲間にするのかはプレイヤー次第です。
プロモーションビデオ#4
神話への入門ゲームとして非常によく出来た作品です。
さすが30年の歴史を積んできたゲームシリーズと言えます。
これに登場する「悪魔」に興味を持ったら神話や伝承を調べてみてはいかがでしょう。
意外な発見ができるかもしれませんよ。
(ペルソナ5 公式サイト)
http://persona5.jp/