一般的に、コンピュータゲームはプレイヤーが自由に操作することで成立するものです。操作が複雑化しすぎて難易度が上がり過ぎたり、自由度が高すぎて何をやっていいのか分からなくなる……といったケースもでてきます。
そんなゲームの反動なのか、なかにはプレイヤーがほとんどプレイに介入できない、変わったゲームも存在します。
■Mountain
プレイヤーは「山」です。
「山」だから、動くことも何かをすることもできません。
……と言ってしまうと身も蓋もありませんが、ともかくこれはそういうゲームなんです。ゲームを開始すると画面に「絵を描いてください」と指示が出ますが、それで絵を描くと、その絵とは無関係に山が現れます。後はその山を眺め回したり、山の上のオブジェクトをいじるだけ。
時間経過によって昼夜や天候、季節の変化などが起こりますが、それ以上のことは起こりません。これがゲームなのかと怒る人もいますが、ただ山を眺めているだけで癒やされると感じる人も……。
Windows・Mac・Linuxの各PC版の他、iOS版もリリースされています。
PC版の価格は1ドル、iOS版は100円でダウンロード可能です。
■The Graveyard
プレイヤーは「老婆」です。
老婆になって墓場(Graveyard)を訪問し、墓石の間を歩いてベンチに腰掛け、歌を聴くことができます。ある条件を満たすと、「老婆」は亡くなります。
この作品はゲーム的手法を用いて言葉に頼らず物語を表現することができるかを試みたものであり、その意味ではゲームと呼ぶのは難しい作品かもしれません。
制作会社であったベルギーのゲーム開発会社Tale of Talesは解散してしまいましたが、ゲーム自体は現在でもPC版の他、iOSとAndroid版をダウンロード購入することができます。
■DEAR ESTHER
プレイヤー=主人公はイギリスのヘブリディーズ諸島にある孤島のひとつに辿り着き、そこをさまよい歩きます。島にはさまざまな謎に満ちた遺物が残されていますが、プレイヤーはただ島を歩きまわり、それらを見ることしかできません。
時折、主人公に届いた手紙の断片を朗読する声が聞こえます。プレイヤーは島の中で目にした光景や手紙の文面から、主人公の身に起きた事故や、それを巡る悲劇の物語を垣間見ることになります。
どのような物を見るか、手紙のどの断片を聴くことができるかはプレイ毎にランダムで変化します。謎は漠然として明確な解答は提示されません。物語の真相を知るためには、何度も繰り返しプレイする必要があります。
元々は大ヒットしたFPSゲーム『Half Life 2』のMOD(既存のゲームのデータを改変して別のゲームにしたもの)であり、いわばFPSから銃撃などのゲーム的要素を排除した実験的作品と言えるでしょう。
対応はPC版のみ。日本語版をダウンロード購入することが可能です。