2011年11月、1人の女性が1匹の犬を連れてワシントン州ベルビューにあるゲーム会社ARENANETを訪れました。彼女の名前はKelly Wells、犬の名前はAnnaです。
2人は誰も成し遂げられないだろうと思っていた大冒険のゴールに、彼女が大好きで彼女の冒険心をかき立ててくれたオンラインゲーム『Guild Wars』の開発会社を選んだのでした。彼女が行った大冒険、それがアメリカ合衆国を徒歩で横断するというものです。
■『Gaming can make a better world』
Kellyさんは『Guild Wars』をプレイするたび、自分自身でも見知らぬ土地を訪れたり、困っている人を助けたりと、さまざまな冒険をしてみたいと思っていたそうです。
その彼女の背中を押したのが毎年カナダのバンクーバーで開催されている講演会TED(Technology Entertainment Design)でJane McGonigalさんが行ったスピーチ「Gaming can make a better world」です。
ゲームはより良い世界を作ることができる、Janeさんの主張はこう始まります。人はゲームの中では失敗を恐れず、くじけてもすぐに立ち上がって挑み続けます。しかし現実世界ではそうはなりません。不安や苛立ちから悲観的になり、上手くいかないと考えがちです。ゲームの世界にはそんな悲観的な考えはありません。どうすれば現実世界でもゲームのような感覚を持てるようになるのでしょうか。
これを聞いたKellyさんは自分もゲームと同じように立ち上がって前に進むことを決心し、Annaと共に西を目指して旅立ちました。彼女の家は合衆国最北東にあるメイン州、そこから最も西にあるカリフォルニア州まで実に4800kmに及ぶ大冒険の始まりでした。
■冒険は誰にでもできます、ただドアを開けて世界に踊り出すだけです。
Kellyさん達の旅は決して楽なものではありませんでした。同行のAnnaにも困難は襲いかかります。そのたび何度も引き返そうと考えたそうです。しかし彼女は初めて見る景色や、彼女のウェブサイトを見て応援してくれている人達に励まされ、苦難を乗り越えて行きました。そしてなによりも彼女が望んでいたのは冒険だったからです。
6ヶ月に及ぶ冒険を終え、ベルビューを訪れた彼女をARENANETの人は快く歓迎し、彼女の賞賛の言葉を送りました。そして彼女への敬意と感謝を込めて開発中の『Guild Wars』の続編『Guild Wars 2』に、彼女とAnnaをモデルにしたNPC(Non Player Character)を登場させたのです。
Kellyさんは自分だからできたのではなく行動したからできたのだと言います。強靭な肉体も大金もいらない、ただ外へ飛び出すだけなのだと。
彼女によってゲームの中で出来たことは現実の世界でも出来ることがあると証明されました。Jane McGonigalさんが主張したとおり、ゲームは世界をより良く変えていけるのかもしれませんね。
(Kelly Wellsさんのサイト)
Adventures Await
https://adventures-await.com/
(Guild Wars 2公式サイト)
https://www.guildwars2.com/en/