e-Sports（エレクトロニック・スポーツ）というものをご存知でしょうか？
名前も聞いたことがないという人のほうが多いかもしれませんが、実は個人や複数のプレイヤーが対戦するゲーム競技のことです。
身体を動かないのにスポーツとは言えないだろ、という意見が出ると思いますが、あくまで競技性を持たせるという意味で使われているので、身体を動かすこととは直接関係がありません。そんな競技に関する話です。
■e-Sportsは世界規模で行われている競技です
個人や複数人で対戦するゲームがすべてe-Sportsとなるわけではありません。
スマホや一部のネットゲームにありがちな、課金によって強力な武器やアイテムが手に入れられるもの、言い換えれば出資額で優劣が決まってしまうものは対象になりません。
公平性が保たれ、純粋にプレイヤーの力量で競うものだけが認められています。
当然、自動操作や入力補助機能を使うもの、プレイ時間の長さで優劣が変わるものも却下されます。
ただの遊びだろ、と思わないで下さい。
世界ではスポンサーがついた大会がいくつも行われ、巨額の賞金が掛けられた大会も存在します。
そしてそれによって生計を立てているプロ選手まで存在しているのです。
海外ではそんな選手をバックアップするために企業が付く場合もあり、一般的なスポーツ選手に近い契約を結んでいることもあります。
海外ではそんなプロ選手（プロゲーマー）が一定の地位を持っており、国によってはなりたい職業として名前が上がるほど有名なものとなっています。
そんなe-Sportsを日本にも根付かせようとしている人達はいるのですが、やはりゲームに対する評価が低いため困難な状況となっているのです。
■日本で根付かない理由
日本でe-Sportsが根付かない大きな理由は、ゲームに対する認識が海外とは全く異なるという点にあります。
「遊び」「暇つぶし」などの軽い考えから、「現実逃避」「子供のするもの」といった否定的な意見、「頭が悪くなる」「脳の機能障害を起こす」など根拠の無い極論で批判するなど、世間一般的に「やり込む価値はなく、悪い影響を与えるもの」という意見がまかり通っているのが日本の現状です。
その中でプロゲーマーや競技性のあるゲームの知名度をあげようとしても、最初から否定的な態度を取られてしまい、まともに取り扱ってくれるところへ行くまでが困難となってしまいます。
またゲームに好意的な人であっても、e-Sportsの対象となるゲームは海外のものが多いことから敬遠されてしまい、人によっては批判的な態度に変わる場合もあるのです。
そういう人たちに受け入れてもらえるゲームに絞っていくと、e-Sportsとしては成り立ちにくく人口を増やすこともできません。
人口が増えないということは、ビジネスチャンスも少なくなるということでもあり、スポンサーとなる企業にも敬遠されてしまいます。
このようにゲームに対する偏見と、e-Sports向きのゲームが受け入れられないという「ガラパゴス状態」が日本で根付かない大きな原因となってしまっているのです。
■日本でe-Sportsは発展できるのか？
この数年、日本でもe-Sportsを根付かせようと幾つかの団体が設立されました。
社団法人「日本eスポーツ協会」もその一つです。
こういった団体は「e-Sportsの地位向上」を考え、「e-Sportsを宣伝する」ことを中心に動いています。
しかしその前提になる「ゲームそのものの地位向上」がなければそれらの団体のアピールも虚しい結果にしかなりません。
「なんだ、ゲームか」で終わらされてしまう現状はe-Sports以前に問題があるのです。
現状を改善するには、ゲームがクリーンなものであることをアピールし、プレイヤーがしっかりルールを守って「ゲームを悪者にしない」ことが大切です。
批判されるとすぐに沈黙してしまうゲーム企業、楽しければそれで良いとして社会のルールも守らないプレイヤー、それではe-Sportsどころかゲームそのものが悪く言われるだけです。
何かあるとすぐにゲームが悪者扱いされてしまう日本では、それを使った競技e-Sportsを根付かせるのは数年、数十年先になりそうですね。
