リンダ・コーブナーさんという女性は、この日、18年ぶりにある旧友たちと再会しました。彼らはドールとスウィングというチンパンジーです。リンダさんとチンパンジーたちには、悲しい過去があります。
チンパンジーのDNAの98.8%は人間のものと同じであるため、彼らは私たち人間のために開発される薬や医療開発の実験台にされてきました。このチンパンジーたちも6年もの長い間、冷たくて固い檻の中で監禁されていたのです。
しかし、1974年1月のある朝、このチンパンジーたちが6年ぶりに外の光を浴びる機会が訪れました。目的のワクチンが完成し、もう研究所から必要がないとされたのです。
外に出るのがあまりにも久しぶりだったチンパンジーたちは、大地を踏みしめることさえ緊張している様子です。それから4年間、当時23歳であったリンダさんは、これらのチンパンジーを野生に帰すために一緒に暮らしました。
無事に野生に帰ってから18年も顔を合わせていなかったチンパンジーたちとリンダさんですが、2頭は笑顔でリンダさんを迎え入れ、ハグをします。
人間から痛い目に遭い、暗い檻の中に閉じ込められたにも関わらず、それを乗り越えて再び人間を受け入れてくれたのです。ここまでの信頼関係を構築するために、リンダさんはどんなに努力したことでしょう
。感情表現も人間のように豊かで、手先の器用さもまるで私たちとそっくりであるチンパンジーが、物のように扱われていたという悲しいお話です。リンダさんは、動物たちにも私たちと同じ感情があり、痛みも感じるということを知るべきであると訴えます。