2016年10月22日、ソニー・インタラクティブエンターテインメントの吉田修平氏がTwitterで『人喰いの大鷲トリコ』の完成を報告するツイートをして話題になりました。
『人喰いの大鷲トリコ』は2009年の最初の発表以来、幾度も発売が延期され、さらには対応予定機種の変更をしつつ、2016年12月6日の発売が決定し注目されるタイトルでした。このように、大作ゲームの中には開発発表から発売まで、非常に長期間を要するタイトルも少なくありません。
そんなタイトルの中でも、現在注目の的となっているのがサイバーパンクアクションRPG『Cyberpunk 2077』です。
■サイバーパンクとは?
サイバーパンクとはSF(サイエンス・フィクション)のサブジャンルのひとつを指す名称です。
一般的には、その多くが近未来を舞台としており、発達したコンピュータネットワークや人工知能、人体の機械化とそれに伴う改造(義体化)、より高度化したバーチャルリアリティといった設定やガジェット、反体制的なテーマや思想を扱うジャンルとされています。
サイバーパンクとして最も知名度の高い作品と呼べるのは映画「マトリックス」シリーズ、国内作品としては「攻殻機動隊」や「ソードアート・オンライン」、「女神転生」などが代表的な作品です。
また、サイバーパンクの定義とは外れますが、大きく影響を与えた作品として「ブレードランナー」や「AKIRA」といった映画作品を上げることができます。
現代ではネットワークの普及と共に、かつてサイバーパンクとされた作品、あるいはその一部の設定が現実化してしまった作品も増え、いまやジャンルとしてのサイバーパンクはあまり意識されなくなってきました。
しかし逆に言えば、サイバーパンクはそれだけ私達の現実生活と近しく密接なものとして単にアニメやゲームだけではなく、多くの娯楽作品に溶け込む要素となっている、とも言えるかもしれません。
■TRPGを原作とするコンピュータゲーム『Cyberpunk 2077』
『Cyberpunk 2077』は2012年10月にCD Projekt REDが制作発表したサイバーパンクアクションRPGです。
『Cyberpunk 2077』には『Cyberpunk 2020(サイバーパンク2.0.2.0.)』という原作にあたるテーブルトークRPGが存在します。テーブルトークRPG(TRPG)とは、会話形式で展開される物語形式のボードゲームの一種で、「ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ」や「ソードワールド」といった作品が有名です。コンピュータゲームの「ウィザードリィ」の原典であることも知られていますね。
『Cyberpunk 2020(サイバーパンク2.0.2.0.)』が発売されたのは1993年の事。当時、サイバーパンクは最新流行のSFジャンルとして人気が高く、小説や映画で数多くのサイバーパンク作品が登場した時代でした。
『Cyberpunk 2077』は、このTRPGの雰囲気や世界設定を忠実に再現する作品として発表当時から注目を集めました。しかし、当初は2016年頃リリースとされながらも、正式発表後殆ど情報公開されることなく、4年を経過した現在でも正式な発売時期や対応予定のプラットホームの発表もありません。
今現在の時点で『Cyberpunk 2077』に関する情報が殆ど公表されていないのは、開発会社であるCD Projekt REDの制作体制に理由がありました。
CD Projekt REDはポーランドに制作拠点を置くゲーム開発会社で、その代表作はRPG『ウィッチャー』シリーズです。2015年にはそのシリーズ第3作に当たる『ウィッチャー3』が発売され、2016年にかけてそのダウンロードコンテンツが相次いでリリースされています。
CD Projekt REDによれば、これまで人員の多くを「ウィッチャー3」の開発に費やしていたため、『Cyberpunk 2077』に本格的に注力できなかったと言います。
しかし2015年末には、『Cyberpunk 2077』の開発が水面下で進んでいることが公表され、2016年9月には、DLCも含め開発が終了した『ウィッチャー3』に代わって、それ以上の数の人員が『Cyberpunk 2077』の制作ラインに投入されたことが発表されました。
まだ発売時期の予定も発表されていない『Cyberpunk 2077』ですが、CD Projekt REDの話を信じるなら、そう遠くない日にその秘密のベールを脱ぐことになるでしょう。ゲームファンとして、大いに期待したいところですね。