ゲームを巡る都市伝説は数多ありますが、なかでも国際的に知られていたのが「ビデオゲームの墓場」と呼ばれる埋立地の話です。
その信ぴょう性については疑念が持たれていましたが、2014年に埋め立て地の発掘調査が行われ、大量のゲームカセットが地中から発見され、事実であることが確認されました。「ビデオゲームの墓場」の発掘調査を撮ったドキュメンタリーDVD「ATARI GAME OVER」が2015年9月15日に発売されます。
■「ビデオゲームの墓場」の元になった、「アタリショック」とは?
「ビデオゲームの墓場」とは、アメリカ・ニューメキシコ州に実在する埋立地です。
この都市伝説の元となったのが、1982年にアメリカのビデオゲーム業界に起こった大規模な売上不振、通称「アタリショック」と呼ばれている現象でした。
アタリ社は1982年当時、アメリカのビデオゲーム市場の売上の80%を占める会社でした。当時のアタリ社はアーケードタイトルを家庭用ゲーム機に移植する戦略で大きな売上をあげていました
1982年、同社の家庭用ゲーム機Atari2600用に移植されたアーケードゲーム『パックマン』が発売されました。当時絶好調の最中にあったアタリ社は同タイトルの売上予想に絶大な自信を持っており、ソフトの生産数は1200万本に昇りました。これは、Atari2600本体自体の売上台数1000万台を超す数です。
しかし、3月に発売された『パックマン』は低品質であることが叩かれ、総数700万本と、それ自体は大ヒットと言える売上を記録したものの、アタリ社自身は500万本の在庫を抱える結果となってしまいました。
この状況にトドメを刺したのが、同年に発売されたゲームソフト『E.T.』でした。
スティーブン・スピルバーグ監督の大ヒット映画に、アタリは超高額のライセンス料を支払い、そのゲーム化に踏み切りました。
しかし、発売されたゲームはその低品質のために酷評を受け、500万本製造されたソフトのうち、実際に販売されたのは150万本にとどまりました。
このアタリ社の業績不振を引き金に、当時飽和状態にあったアメリカのビデオゲーム市場は崩壊、空前の売上不振を招いてしまいます。
この一連の現象をまとめて「アタリショック」と呼びます。
アメリカ市場でのビデオゲームはその後、1985年に任天堂の家庭用ゲーム機である『ファミリーコンピュータ』の米国版、Nintendo Entertainment System(NES)発売まで続きます。
■発掘された『ビデオゲームの墓場』
2014年、アタリ社が不良在庫化したゲームソフトを埋めたと言われる埋立地の発掘作業が行われ、映画「アベンジャーズ」の脚本を担当したザック・ペン氏がその様子を取材、検証したドキュメンタリー作品が『ATARI GAME OVER』です。
その日本語版DVDが2015年9月16日に発売されることが決定しました。発売元は日活・ジェミニエンタテインメント。Tシャツ付きの数量限定版が6000円、通常版が2800円で販売されます。初回封入特典として、アタリ社の創設者であるノーラン・ブッシュネル氏の独占インタビュー全文も付いてくるということです。
任天堂の世界的躍進の背景ともなったと言える『アタリショック』。
ゲーム史に興味のある方は、ご覧になってみてはいかがでしょうか?