インターネットが普及した昨今、ゲームもオンライン対応しているのが当たり前とも言える時代になりました。ほとんどの人がネットを介したマルチプレイや対戦を経験したことがあるでしょう。
他人と協力したり対戦するのが楽しいオンラインゲームですが、一方でゲーム内のコミュニケーションがストレスになるという問題も起こっています。特にパーティを組んでの協力プレイが不可欠なMMORPGなどは、自分がパーティから抜けることで仲間に迷惑をかけたくないと思うばかりにプレイの止め時を見失うプレイヤーが続出し、『ネトゲ廃人』などとも呼ばれます。
そういう状況の中、今までとは違うオンラインプレイのあり方を模索するタイトルが現れています。
■風ノ旅ビト
2012年3月にPlayStation3用ソフトとして配信されたゲームです。
プレイヤーは民族衣装風の外套をまとった旅人を操作し、無限に続く砂漠の世界を旅していきます。
美しく幻想的なビジュアルや、哲学的なストーリー性から高い評価を受けた作品ですが、その最大の特徴はオンラインプレイにありました。
プレイを進めていくと、時折自分が操作するのとは別の旅人と出会うことがあります。一度に出会えるのは一人だけ。テキストによるチャット等の機能はなく、相手には音と光でシグナルを送ることができるだけ。プレイ中は相手の旅人を操作するプレイヤーのIDすら知ることができません。(エンディングにたどり着くと、自分が同行した他のプレイヤーの一覧が表示されます)
言葉も交わせない状況で、シグナルを送ったり自分の動作だけで意志を伝えることができた時の楽しさは、チャットや音声でやりとりするのとは別の喜びがあります。
もちろん、相手の「旅」に同行するもしないも自由、他人と関わりあうのが面倒くさいときは、気楽に一人旅すること可能です。
■The Tomorrow Children
「The Tomorrow Children」は2015年秋に配信開始予定のゲームです。
舞台は、冷戦時代にソビエト連邦の研究が引き起こした事件のために滅亡してしまった世界。プレイヤーは残された人類に生み出されたクローン人間となって、世界の復興のために労働で奉仕する……というゲーム。
共産趣味的な世界観とミスマッチな、ポップで愛らしいキャラが印象的な作品ですが、やはり最大の特徴はオンライン要素にあります。
プレイヤーは他のプレイヤーと共におなじ街の建設に従事することになりますが、他のプレイヤーの姿は普通見ることができませんし、ボイスチャットの機能もありません。ただ、自分と同じことをしようとしている(例えば鉱石を採掘したり、何かを建築するなど)プレイヤーの姿のみ、見ることが可能です。
自分がやろうとしていることを他のプレイヤーもやっているところが見えると、妙にやる気が出てきて、思わず労働奉仕にも熱が入ります。労働の成果として作り上げた建築物や道具は他のプレイヤーと共用できるというのもやる気をそそります。シングルプレイのように気楽にプレイしながら、いつのまにか協力しあって世界を建築している、そんな不思議な体験ができるゲームです。