サイバーパンクとは、主に「テクノロジーの過剰な発達で個人や集団がネットワーク構造や機械と融合・拡張された世界」を描くSCI-FIのジャンルのひとつですが、多くの方が“サイバーパンク”と聞いて想起するのは、かつて香港に存在した九龍城塞のような、アジアンテイストで退廃的なイメージではないでしょうか?
猫がアジアンテイストのサイバーパンク世界を舞台に活躍する、ちょっと変わったアドベンチャーゲームの開発が進んでいます。
■なぜ、「サイバーパンク=アジアンテイスト」というイメージが定着したのか?
サイバーパンクとは、人間社会がネットワーク構造や工業技術と融合され、拡張されることをテーマとするものであり、そもそもアジアンテイストでなければいけない決まりはありません。
しかし、多くの人がサイバーパンクと聞いて退廃的なアジアンテイストの世界を想起するようになったのは、二つの先駆的作品の影響が強いと言えるでしょう。
1982年に公開された映画『ブレードランナー』は『2001年宇宙の旅』に代表されるような“SF=クリーンな未来世界”というイメージを打ち破る作品としてカルト的な人気を獲得しました。
『ブレードランナー』が描いたのは環境汚染が進んで酸性雨が降りしきる、アジア文明と最先端の工業社会文明の融合した世界でした。
『ブレードランナー』の原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を書いたSF作家フィリップ・K・ディックはカオスな未来感と技術の暴走を描くことが多く、サイバーパンクの先駆的作家とも呼ばれます。
1984年には、ウイリアム・ギブスンの小説『ニューロマンサー』が出版。
サイバーパンクというジャンルを成立させたとも言われるこの小説の序章は日本の千葉(チバシティ)を舞台としており、『ブレードランナー』の退廃的アジアンテイストな世界が展開しています。
このような、サイバーパンクジャンルの先駆的作品が共通してアジアンテイストな世界観を描いたことが、後のサイバーパンク作品のイメージに大きな影響を与えたことは間違いありません。
ゲーム作品として『サイバーパンク=アジアンテイスト』の影響を色濃く受けている作品としてまず上げられるのは、1997年にPlayStationソフトとしてリリースされた『クーロンズ・ゲート〜九龍風水傳〜』でしょう。
異世界の九龍城塞を舞台としたそのビジュアルは話題となり、現在でも熱狂的ファンの支持を受けています。
■猫になってサイバーパンクな世界を旅するアドベンチャーゲーム
フランス出身のゲーム開発者、Koola氏とViv氏が進行させているプロジェクト『HK project』が注目されています。
この作品ではプレイヤーは猫となって、『ブレードランナー』や『クーロンズゲート』で描かれたような、退廃的アジアンテイストの街の路地裏で冒険を繰り広げます。
開発はまだ始まったばかりですが、公式サイトにはすでにいくつものビジュアルイメージがアップされており、一匹の猫が退廃した街の裏路地を歩く魅惑的な映像や画像を見ることができます。
開発にはこの先数年はかかるとされ、対応プラットフォームも未定ですが、今からどんな作品となるのか、気になります。
(公式サイト)
HK Devblog
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